雲仙岳災害記念館 がまだすドーム

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火山がもたらす災害

地球が生きている証拠であるのだけれど・・・

平成新山
平成新山

生命を育てる地球のパワーは、いつも優しいとは限らない。そのパワーが大きければ大きいほど、人間がコントロールできないような現象を起こすことがある。人間の生命、生活、財産、そして自然環境などにダメージを与えるそうした現象を見ることにしよう。

噴火のタイプ

噴火のタイプ

火山の火口からマグマ、ガス、岩塊などが噴き出す現象が噴火だ。マグマの種類、マグマの量、ガスの性質などが違うと噴火のスタイルも違ってくる。まずマグマを含むかどうかで噴火を分けてみよう。

マグマ噴火
普賢岳
普賢岳

火口からマグマを噴き出す噴火のこと。マグマの粘り気によって溶岩(地表に噴き出したマグマを溶岩と呼ぶ)の流れ方、噴煙の上り方、噴火によって放出される火山灰や岩石の性質も違ってくる。また噴火後にできる火山のかたちにも違いが出る。

水蒸気爆発

地下水がマグマによって熱せられると水蒸気となる。出口のない地下でさらに熱が加わると、高まった水蒸気の圧力で爆発を起こす。
これが水蒸気爆発。

マグマ水蒸気爆発

マグマがいきなり地下水や海水に触れ、水蒸気が激しく発生して起る噴火。マグマ噴火と水蒸気爆発の両方の特長を持っている。

火山災害のタイプ

92年(平成4年)2月14日
92年(平成4年)2月14日

火山による災害には、噴火によって噴き出されるものがもたらす災害と、噴火そのものが原因となって発生する災害がある。

火砕流
火砕流が発生した普賢岳(平成4年8月7日)
火砕流が発生した普賢岳(平成4年8月7日)

高温の溶岩の破片や軽石、火山灰が、火山ガスや大気とともに火山の斜面を高速で流れ下る現象。

火山泥流・土石流
土石流の被害(平成4年8月8日)
土石流の被害(平成4年8月8日)

火山の斜面には、火山灰、火山れき、火山岩塊といった火口から噴き出したものが積み重なっている。これらが大雨によって周囲の樹木などを巻き込んで流れ下る現象。

溶岩流

火口から出た溶岩が地形に沿って流れ下る現象。
ハワイでみられる溶岩流はよく知られているが、雲仙岳では、1663年の噴火、1792年の噴火で普賢岳山麓に溶岩流が流れた記録がある。

空振
普賢岳(平成3年8月27日)
普賢岳(平成3年8月27日)

火山爆発によって、空気が振動する現象。周辺にある建物の窓ガラスを割る被害が出ることもある。

噴石・火山弾
火山弾(観光復興記念館蔵)
火山弾(観光復興記念館蔵)

ふつう火口には以前噴火したときの噴出物が堆積している。新たな噴火が起こるとこの堆積物が、水蒸気やマグマとともに吹き飛ばされる。これらが噴石。中には空中に飛ばされたマグマの表面が冷やされて固まり、砲弾のようなかたちになって地上に落下することがある。これが火山弾。どちらも非常に危険。

火山灰
火山灰が降る島原市内(平成5年3月9日)
火山灰が降る島原市内(平成5年3月9日)

火口からの噴出物のうち、直径が2mm以下のものが火山灰。地上に降り積もるとさまざまな災害を引き起こす。植物を枯らし、雨などで水を吸うと重くなって建物をつぶしたりもする。電線に付いた火山灰は停電の原因となるし、吸い込むと自動車や飛行機のエンジンをだめにし、人間の健康もそこなう。

岩なだれ(山体崩壊)

大規模な噴火や直下型の地震が起こると、火山自身が崩壊してしまうことがある。これを山体崩壊と呼び、火砕流と並んでもっとも危険な火山の災害とされている。1792年の雲仙眉山や1888年の磐梯山の災害が代表格。

現在の眉山
現在の眉山
1792年の「島原大変前図」(島原図書館所蔵)
1792年の「島原大変前図」(島原図書館所蔵)
1792年の「島原大変後図」(島原図書館所蔵)
1792年の「島原大変後図」(島原図書館所蔵)
津波
島原大変(1792年)の雲仙眉山の山体崩壊でおきた津波
島原大変(1792年)の雲仙眉山の山体崩壊でおきた津波

山体崩壊によって発生した大量の土砂・岩石が一気に海に流れ込むと、海面に大きな凹凸が生まれる。これを火山性の津波と呼ぶ。眉山が崩壊したときにも起り被害をより大きくした。

火山ガス
平成噴火の兆しの火山ガスをだす普賢岳(平成2年11月17日)
平成噴火の兆しの火山ガスをだす普賢岳(平成2年11月17日)

火口や噴気口から出る火山ガスのほとんどは水蒸気だが、炭酸ガス、硫化水素、亜硫酸ガスなどの有毒な成分を含むこともあり、人や動物の命を奪うことがある。