火山がもたらす災害
地球が生きている証拠であるのだけれど・・・
生命を育てる地球のパワーは、いつも優しいとは限らない。そのパワーが大きければ大きいほど、人間がコントロールできないような現象を起こすことがある。人間の生命、生活、財産、そして自然環境などにダメージを与えるそうした現象を見ることにしよう。
噴火のタイプ
マグマ噴火
火口からマグマを噴き出す噴火のこと。マグマの粘り気によって溶岩(地表に噴き出したマグマを溶岩と呼ぶ)の流れ方、噴煙の上り方、噴火によって放出される火山灰や岩石の性質も違ってくる。また噴火後にできる火山のかたちにも違いが出る。
水蒸気爆発
地下水がマグマによって熱せられると水蒸気となる。出口のない地下でさらに熱が加わると、高まった水蒸気の圧力で爆発を起こす。
これが水蒸気爆発。
マグマ水蒸気爆発
マグマがいきなり地下水や海水に触れ、水蒸気が激しく発生して起る噴火。マグマ噴火と水蒸気爆発の両方の特長を持っている。
火山災害のタイプ
火山泥流・土石流
溶岩流
火口から出た溶岩が地形に沿って流れ下る現象。
ハワイでみられる溶岩流はよく知られているが、雲仙岳では、1663年の噴火、1792年の噴火で普賢岳山麓に溶岩流が流れた記録がある。
噴石・火山弾
ふつう火口には以前噴火したときの噴出物が堆積している。新たな噴火が起こるとこの堆積物が、水蒸気やマグマとともに吹き飛ばされる。これらが噴石。中には空中に飛ばされたマグマの表面が冷やされて固まり、砲弾のようなかたちになって地上に落下することがある。これが火山弾。どちらも非常に危険。
火山灰
火口からの噴出物のうち、直径が2mm以下のものが火山灰。地上に降り積もるとさまざまな災害を引き起こす。植物を枯らし、雨などで水を吸うと重くなって建物をつぶしたりもする。電線に付いた火山灰は停電の原因となるし、吸い込むと自動車や飛行機のエンジンをだめにし、人間の健康もそこなう。
岩なだれ(山体崩壊)
大規模な噴火や直下型の地震が起こると、火山自身が崩壊してしまうことがある。これを山体崩壊と呼び、火砕流と並んでもっとも危険な火山の災害とされている。1792年の雲仙眉山や1888年の磐梯山の災害が代表格。
現在の眉山 |
1792年の「島原大変前図」(島原図書館所蔵) |
1792年の「島原大変後図」(島原図書館所蔵) |